SUUNTO
スントQ & A

−こうしてスントの製品が生まれる−


「機能」に基づかないデザインはない

Research & Development Team Jussi Virkkala氏に聞いた

X9を使い始めてスントが身近になると、いろいろな疑問が湧いてきました。それをまとめてスントジャパンに質問すると、なんと本社に聞いてくれました。ここではその内容を紹介します。少し長めですが、読んで下さい

Q.
「60年のダイバー用コンパス以降、80年代のダイブコンピューター開発までの期間、コンピューター技術を積極的に取り入れ、独特の世界を築き始めます。スント社が大きく変化・成長する過程だと思われるが?」


A..
 フィールドコンパスで確立した技術を活用し、1950年代にはマリンコンパス、そしてダイビング用コンパスを開発します。特にダイビング用コンパスでは、1960年代には世界をリードするメーカーへと成長します。その後、80年代になり、更なる飛躍を図りたいと考え、より高いレベルの技術製品、電子関連機器への進出の可能性を「マリン」「ダイビング」それぞれの領域で探ります。
 そして、「マリン」の領域ではもう既に市場が成熟していると判断し、「ダイビング」の領域での製品開発を決意しました。そこからダイブコンピューターの開発へとつながります。スントの最初のダイブコンピューターはSMEモデルです。それは、当時最も小型のダイブコンピューターでした。

Q. 「90年代終わりにヴェクターが発売されますが、開発のコンセプト、ターゲット、開発秘話、そしてその成果は?」

A. 我々は「ヴェクター」を開発する何年も前からその領域に「ニーズ」があることをつかんでいました。世界中の代理店がそのお客様と接する中で、そこにチャンスがあることを感じていたのです。勿論その開発は「技術主導」でした。まず、アウトドアで必要とされる機能をリストアップし、それを計測する技術、解決策を1つ1つ見つけていったのです。そして、リストアップした全ての項目を満たした時に「ヴェクター」の製品化を決めたのです。また「ヴェクター」を開発する際、それより前に既に開発した「腕時計型ダイブコンピューター」が重要な役割を果たしたことを付け加えたいと思います。その意味では、「ヴェクター」を開発するのに必要な技術のほとんどは、既に社内に存在していたといっても過言ではありません。
 「ヴェクター」は、登山家を含む全てのアウトドア愛好者がターゲットになります。開発段階においては、本当にアウトドアでそれらの機能を必要としている人たちと数多くのディスカッションを重ね商品スペックを決定していきました。販売に関しては、あえて表現するならば「大変な成功」だったといえます。マーケットニーズの把握優れたデザイン、分かりやすいユーザーインターフェイス、そしてなんといっても、正確な計測技術が鍵だったと思います。

Q. 「リストップコンピューターに込められた開発チームのこだわり、ある意味「オタク」の集団だと思いますが、どんな過程で新しい製品のコンセプトが生まれるのでしょうか?」

A. 新しい製品の開発は、ある意味「自然な流れ」の中から出てきます。なかなか表現するのが難しいのですが、既存商品があり、マーケットニーズ(こんな機能もあればいいのに)が生まれ、それを商品化するのです。心拍計測モデルなどはまさにその良い例です。GPSモデルも同様です。ちなみに、我々が「M9」を開発した時は「ボルボ・オーシャン・レース」への参加がその直接的なきっかけですが、現在ではそのGPS技術をベースに「G9」(日本未発売)や「X9」を展開しています。
 スントが商品展開をするスポーツカテゴリーを決める際の最も重要な要素は、「そのスポーツをする際、自分のパフォーマンスや周りの環境要因を計測し、データを分析し、蓄積することが可能なスポーツか、またそうすることによってそのスポーツを楽しむ人たちに対してメリットを提供できるか」ということです。その結果として現在のラインナップができました。

Q. 「スントR&D(Research & Development)チームは、スント社の中で重要なポジションにあると思いますが、どんな人々がいるのですか? また他社の製品と比較すると、デザイン性が抜きんでている印象がありますが、デザインに対する考え方は?」

A. R&Dチームは現在100人弱、工業デザイン、機械関係のエンジニア、電気関係のエンジニアなどで構成されています。個性的なデザイングループのメンバーは、各々が異なるスポーツのバックグラウンドを持ち、中には心理学者や認知科学者も在籍しています。
 我々は「ユニーク」でありたいと考えているのは事実で、見た目と感触(ルック・アンド・フィール)にこだわるデザインの管理もしています。しかし、あくまで「機能」が最優先でデザインはそれをサポートする項目である、というのが基本的な考え方です。原則として、「機能」に基づかないデザインはないと考えています。

Q. 「現在のラインナップは、比較的「男性」にターゲットを絞っている様に見受けられるが、女性アスリートを意識したよりコンパクトなモデルは考えているのか?」

A. スントのモデルが男性にターゲットを絞っているという見方は間違いです。高性能なセンサー類を搭載したい、スポーツをしているアスリートに対して正確に情報を提供したい・・・と考えると現在の形状になります。それが、腕時計という視点で見るとやや大きい印象を与えているのかもしれません。あくまで、「機能」重視での商品開発の結果、「腕につけるスポーツコンピューター」というコンセプトでの商品開発の結果です。

Q. 「今後のスントの展開、展望を、ニューモデル情報も含めて教えて下さい。日本のマーケット(ユーザー)に対して期待している点は?」

A. 今後も計測が可能なスポーツ、我々が持つデータプロセス技術が有効に活用されるスポーツに集中していきたいと考えています。日本には2005年、[t6]というパーソナルトレーニングの専用モデルを投入します。これは、これまで研究室で行われていたレベルのトレーニング効率などの分析が、腕のユニットと付属のソフトウェアによってできるという画期的なモデルです。この領域は、今後大きく伸びるものと期待しています。
 日本のマーケットは我々にとって非常に重要です。また、日本のお客様は非常に要求水準が高いと理解しています。そのため、日本のユーザーの満足が得られれば製品としての完成度が充分であるという指標になります。スントが高いマーケットシェアを確保しているダイビングの領域においても、日本のユーザーからの声に耳を傾けてきたことがその成功の要因であったと考えています。
多くの時計メーカーが男性用と女性用を揃えています。だから単純にどうしてスントの時計は大きいのだろう・・・と思っていました。こんな素朴な疑問を持ったのは私だけでないと思います。だけど、この回答をもらって考え方が変わりました。「機能」が最優先、納得です。